_ [shogi]名人戦問題
日本将棋連盟、毎日新聞社、朝日新聞社の間で「名人戦問題」が起きている。この問題に関する詳細は
にて、経緯が報じられている。簡単に言うと、日本将棋連盟が名人戦の主催を毎日新聞社から朝日新聞社に移管しようとしていて、朝日からは現在の名人戦よりも多額の契約金を名人戦に払う、との約束をとりつけたため、理事会で移管を決定し、毎日新聞社に対して一方的に契約解消の通知書を送りつけた。毎日新聞社は、協議なしに一方的に契約解消通知を送りつけることは、信義にもとるのみならず契約として無効だと主張。通知書の撤回を求めるも、連盟は通知書の撤回には応じない。毎日新聞社の社長から棋士全員への手紙、さらには連盟理事から棋士全員への手紙、といった具合に、両者は全面戦争の様子を呈している。いや、やっぱり簡単には語れない。まだまだもっと複雑です。本音は某SNSに書いてたりします。
さて、この問題に関して、どういう成り行きになるか興味深く見守っていたところ、週刊実話5月11・18日合併特大号に「本誌独占 米長邦雄『日本将棋連盟』会長の肉声! 『名人戦』毎日vs朝日バトルの真相!」という記事が出ているということを知り、とりあえず買って読んでみました。
まず、将棋連盟の理事会方針が書かれていて、それには毎日新聞が報道している理事会から棋士宛の手紙にも書かれている「Aコース」「Bコース」「Cコース」がある。ただ、「Cコース」については、毎日新聞の報道では「理事会方針」としか書かれていないので、これは「朝日新聞社が示していた金額は現行の金額プラス10億円の一時金」としたうえで、毎日新聞が代案を示さなければ移行▽同額を提示すれば棋士総会で多数決▽上回れば毎日新聞と契約と考えている」という方針のことかと思ったら、週刊実話に書かれているのはそうではなく、
Aコースは非現実的でありBコースは若い棋士の同意が必要になる。現理事会が4月1日付で職員の機構改革を推し進めたのは以上の理由、この改革推進に賛同する
と書かれている。Aコース、Bコース、Cコースの選択を棋士総会に突きつけるとのこと。
_ 次に、気になったのは
近いうちに読売新聞と毎日新聞のトップ会談があるという。もし読売、毎日が手を結んで共同戦線を張ると厄介なことになりそう
との記述だ。
- 連盟は毎日新聞社に対してかなり失礼な対応をしており、毎日新聞社の怒りを買っている。他のスポンサー、たとえば読売新聞社も不快感を覚えても不思議はない。
- 名人戦が朝日に移管したら、読売新聞社としてもあまり面白くない。
といった現状を考えると、たとえば以下のようなシナリオだって考えられる。
- 毎日、読売の共催にて名人戦を主催する。契約金額は、普及協力金とあわせて朝日新聞よりも大きな額、たとえば6億円を出資する。朝日よりも金額で上まっている以上、この提案を連盟が拒否する理由はない。
- 竜王戦の契約金額を大幅に下げる。
- その結果、読売と毎日の出資額は減る。朝日には名人戦がわたらない。
少なくとも、スポンサーを怒らせた以上は、将棋連盟にとって得をする、つまりスポンサーにとって損をする決着は望まないだろう。だとすれば、スポンサーにとって得で、将棋連盟にとっては損な決着に持って行こうと協議するのではなかろうか。
そもそも、昔ならともかく、今は将棋ではそんなに儲からない。新聞社が将棋連盟に多額のお金を出しているのは、損得勘定よりも将棋連盟に対する温情みたいなものだってあったはずだ。いくら経営が危機だからといって、その信頼を崩すようなやりかたでスポンサーを怒らせたら、結果的に連盟が損をするのは明らかだと思う。
_ 結局のところ、スポンサーの将棋連盟に対する信頼回復が急務だと思う。