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「将棋名人戦問題」訴訟に発展か?連盟に突きつけた毎日の"王手"との記事が出たので、読んでみた。5月2日付で、毎日新聞社から全棋士宛の手紙が出されたが、その内容についてはこれまであまり報じられていなかった。その手紙は「再びこのようなお手紙を差し上げる失礼をまずお許しください。」と書き出されている通り、4月20日に全棋士宛の手紙を出してから、再度このような手紙を出すこと自体が、まずは異例のことだ。そして、その手紙の中には
顧問弁護士によりますと、契約に基づかない行為によって、連盟が巨額な損害賠償の責任を負う可能性があります。連盟が巨額な賠償責任を問われれば、連盟にとって経済的にも社会的にも大きなダメージになることでしょうなどと書かれているらしい。そして、これはまさに「訴訟通告」であることを読売ウィークリーは指摘している。私にもそのように読める。このような通告を全棋士宛に出した以上は、連盟が毎日の要求通り通知書の取り消しをしない限りは、毎日は訴訟に踏み切るだろう。将棋連盟の米長会長は「分からない、分からない」と連呼しているが、「分からない」などととぼけていられる事態は、すでに過ぎているのではなかろうか。
_ また、この記事の中では、囲碁の世界において、新聞社と日本棋院が裁判沙汰になった事例が紹介されている。1974年に、日本棋院が囲碁名人戦の仮契約を打ち切ると読売に通告し、読売が民事訴訟に踏み切った。その際にも、囲碁名人戦を読売から朝日へと移管させたとのこと。翌年、読売が訴訟を取り下げ、囲碁、朝日が囲碁名人戦を主催している。今回の件も、訴訟に発展すれば、まさにその事件の二の舞となる。そのときに、将棋連盟は毎日新聞社と戦えるだけの体力があるだろうか。また、戦うことのメリットがはたしてあるだろうか。
_ 読売ウィークリーの報道は、連盟の対応は26日の棋士総会で正式決定されるが、どうなるかは現時点では誰にも読めないと、第三者的な立場での記述としてまとめている。ただ、本音のところでは、読売は毎日に味方しますよ、と宣言している記事のように感じる。囲碁名人戦の歴史を振り返ると、読売としては毎日の応援をしたくなる気持ちが大きいとしても不思議はない。
”疑問手”だらけで泥沼化とのことで、連盟が突如提案した朝日と毎日の共催案について、その意図を読売ウィークリーが量ったもの。ここへ来て、棋士たちの意向が急激に変化し、将棋界の事情通によれば、
名人戦「朝毎共催案」の奸計
これまで7対3,あるいは8対2の割合で、毎日支持の棋士が多数でしたが、5分5分の形勢、あるいは逆転する可能性が出てきたのですとのこと。なぜそうなったかというと、共催案に柔軟な対応を見せた朝日に対し、毎日の頑固さが棋士達にとってマイナスイメージになったためであり、そのことが実は連盟と朝日サイドの「計算」であった可能性を、読売ウィークリーは示唆している。最後には、理事会と毎日とが断絶した場合、王将戦など、他のタイトル戦への影響は避けられないだろうと書かれている。この「他のタイトル戦」が、読売の竜王戦を含むものかどうかは明記されていないものの、週刊実話に報道されていたように、毎日と読売の間では、共同戦線がはられていることを伺わせる。
君は、毎日の社員なのかと語気荒く、退場を促したと報道されている点である。これが本当だとすれば、理事会には、反対意見を真摯に聞く度量が求められていると言えそうだ。
_ いずれにしろ、結果として、連盟と毎日新聞の間で話し合いがもたれることになり、事態はここへ来て最悪の状態からかなり好転した模様だ。後は、名人戦終了後の、毎日と連盟の話し合いを見守ることとなりそうだ。
(1) 毎日新聞社と単独案の交渉をするとの順番で交渉を進めるという理事会案の可否について、棋士総会で議決するらしい。
折り合いのつかなかった場合は
(2) 共催案(毎日新聞社、朝日新聞社、連盟の三者協議)
不調の場合は
(3)朝日新聞社と交渉する
_ 毎日新聞社との交渉を開始する前から、交渉の折り合いがつかない、という前提での議決を先にしてしまうことは、交渉を成功させようとする意思が感じられず、交渉相手にとって大変失礼です。こういうことを連盟のホームページに堂々と発表するというのは、喧嘩を売っているようにしか見えません。
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