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TrackBack をする場合には、相手サイトにリンクをする、そして言及をするというのは、ある種の常識というか、プロトコルみたいなものだと理解していたのだけど、一連のやりとりの中でこういう感じのページをみると、なんだかトラックバックについてはまったく別の文化圏、すなわち「言及+リンクしないのが当たり前」という文化圏ができているようだ。このページでは、多くのページから言及無しのトラックバックを受けていて、さらにそのトラックバック元のサイトを見ると、多くのトラックバックを受けている。そこでは、そもそも「言及しない」「リンクしない」ことが当たり前になっている。
_ また、だからこそ「お返しトラックバック」などという風習が生まれるものと考えられる。本来のトラックバックの風習のように、言及+リンクした上でトラックバックされた場合には、そのサイトに対して、お返しで空のトラックバックを返すことはまったく意味がないけれど、リンクしないことが前提となってしまうと、今度は「トラックバックを受けたサイトから、自分のサイトへのリンクがない」わけなので、トラックバックをこちらがお返しとして送る、という構造になっているようだ。つまり、「言及しないトラックバック」と「お返しトラックバック」がセットになって、1つの文化になっているようだ。
_ 本屋には、ブログの本があふれているけど、そういった本の中には、まずはアフィリエイトの説明があって、さらにアクセスを増やすためにはトラックバック、といった説明になっていて、そこには言及が必要とかなんとか、本来の意味が解説されていないケースもままあるようだ。このままだと日本では「言及しないトラックバックが当たり前」といった文化が優勢になるやもしれない。
_ そもそものTrackback specificationにたちかえってみると、リソースAからリソースBへのトラックバックが本質的に意味することは、"resource A is related/linked to resource B." つまり「リソースAからリソースBに関連づけている/リンクしている」ことである。この related の解釈を広くとって、「言及やリンクがなくても、内容的に関連があれば related である」と考えることができるだろうか、という話になるだろう。ただ、ブログにおけるトラックバックの例示の中では、「ブロガーBは、自分のポストを参照しているサイトの一覧をトラックバックによって知ることができる」とあり、参照する(reference)ことを前提としている書き方となっている。やはり、ブログであれば、本文中に相手先のサイトを参照することで、どのように related されているかを明示的に示すことが、specification に則ったトラックバックの運用法と思われる。
_ まとめると、トラックバックの解釈には
_ という2つの文化が現に存在していて、本来は前者の使い方をするものであったのが、日本ではいつの間にか後者の勢力が大きくなっているようだ。
_ そのためには、はてなのように、システムとしてリンクのないページからのトラックバックを受け付けない、といった方法で解決するのが(サーバー負荷の問題はあるとしても)、最善ではないかと思っている。TrackBack URL の近くに「該当エントリへのリンクのないトラックバックは受け付けていません」といった文章を書いておけば、なお啓蒙の意味合いが出てくるけど、そういうことを書くこと自体が、なんだかちょっとめざわりというか野暮ったい感じはする。でも、しかたないのだろうか。
_ 要は「言及リンクのないトラックバックをする奴は悪人だからこらしめないと」ではなくて、「トラックバックの使い方について、正しい知識を持っていない人が多いから、そういう人に正しい使い方を知ってもらうにはどうすればいいか」という方向でならば、なにか頭を使ってみてもいいと思う。
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