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講演をしてきた。1人目の講演者は、地質汚染サイトをモニタリングしながら自然減衰を待つMNA(Monitored Natural Attenuation,自然減衰観測)に関する話からはじまって、汚染サイトで微生物の全菌数が増加しているデータをその中で示されていた。2人目の講演者は、汚染機構解明のための地下水中シミュレーションに関して話をされた。その中で、モデルパラメータの1つとして透水係数が示された。私の講演は3番目だったので、ちょうどこの2人の話を受けて、このように微生物数が増殖する汚染サイトにおいて、透水係数が低下する現象がある、と話を続けることができて、非常に話しやすかった。地質汚染のワークショップだったので、現場の実例について教えてほしい、とこちらから参加者に聞いたところ、その事例を聞く事ができた。やはり、バイオレメディエーションにおいては目詰まりによる透水性低下が問題となっているようだ。
_ 最後の講演者は今回のワークショップの主催者であるNPO法人 日本地質汚染審査機構の理事長である茨城大学の楡井久教授の話だった。土壌汚染対策法に基づいて実施される土壌調査によって、かえって地質汚染被害が拡大してしまった地域がある、また全国各地で今も拡大させつつある、との話をされた。つまり、たとえば第一透水層に汚染物質がたまっていて、その下の不透水層には達していないときに、土壌調査のために穴を深くあけてしまうと、不透水層の下の第二透水層まで、さらにはもっと下の第三、第四透水層まで、汚染物質が到達してしまう。このようにして、土壌調査のための穴をあけたために、かえって地下深くまで汚染物質を拡大させてしまった、という事例について話をされた。これは、土壌汚染対策法に定められ、環境省が強力に推進している無単元調査法に問題があり、このNPO法人が推奨する単元調査法によって丁寧に調査をすれば、このような被害は防げる。したがって、土壌汚染対策法に定められている土壌調査法には問題がある、とのことだった。この件については、楡井先生が長年環境省をはじめ関係各所に注意を呼びかけてきたとのこと。今日は、NHKの取材を受けていたとのことなので、またいずれ報道されるかもしれない。
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