007 チェス (007 Chess)
考案者: Edward Jackman 1995
自由に配布してください
このゲームのアイディアは、自分の駒と敵の駒を両方動かすというアイディアを実現させた、他のいくつかの変則チェスから生まれた。それらの変則チェスの中にはうまくプレイできないものもあり、うまくプレイできるようにするために美しくないルールの変更をしているものもある。007という名前は、もちろん時々自分を他人のように見せかけるスパイのジェームスボンドである。
*007 チェス*
通常のチェスのルールに、以下のルールの変更を加えたルールである。
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プレイヤーは、1度の指し手でに3回駒を動かす。1回目は自分の駒、2回目は敵の駒、3回目は自分の駒である。
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敵のポーンを動かす時には、ポーンは通常の動きをする。つまり、ポーンの動く方向はポーンの色によってきめられるのであって、白黒どちらのプレイヤーがそのポーンを動かしているかではない。
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それぞれの動きは、ルールにのっとっていなければならない。もしも1回目の動きが敵のキングにチェックをかけていたら、2回目の動きはチェックをかわさなければならない。2回目の動きが自分のキングにチェックをかけたら、3回目の動きはチェックをかわさなければならない。また、自分の駒を動かす時には自分のキングがチェックになるような動きをしてはならないし、敵の駒を動かす時には敵のキングがチェックになるような動きをしてはならない。
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3回の動きのいずれも、パスをしてはならない。可能であれば、プレイヤーは必ず3回とも駒を動かさなければならない。3回の動きをすることができなくなったとき、そしてその時に限って、ゲームはステイルメイトになる。
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プレイヤーは1回目の動きでも3回目の動きでも、相手のキングをチェックメイトすればその時点で勝ちが決定する。また、2回目の動きで自分のキングをチェックメイトをすることもでき、その場合は負けになる。
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相手の動かした駒を、次の自分の手ですぐに元の位置に戻すような動きをすることは禁止されていない。
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ポーンが昇格する駒は、そのポーンを*動かした*プレイヤーが決定する。
それぞれの動きは通常のチェスと同じであるから、その棋譜は通常のチェスと完全に一致する。
*007チェス、軍事協定バリエーション(Detente Variation)*
上記のルールに、以下の変更を加える。
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プレイヤーが2回目に動かす敵の駒は、3回目の動きで取ってはならない。
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1回目と3回目に同じ駒を動かしてはならない。ただし、別の駒を動かすことができないときに限り、同じ駒を動かしてもよい。
その他
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展開が速くて過激なゲームをするためには、チェックとチェックメイトのルールをすべて無視する。目的は、キングを取ることである。
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白の有利を減らして均衡させる均衡007 (Balanced 007) は、以下のようにプレイする。初手で黒が白の駒を1個だけ動かし、次に白が黒の駒を1個、白の駒を1個それぞれ動かす。以降、通常の007チェスと同じように、自分の駒、相手の駒、自分の駒の順番で動かしていく。
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加速007 (Progressive 007) 指し手の順番は白 - 黒白 - 黒白黒 - 白黒白黒
- 白黒白黒白 - 黒白黒白黒白 - と続く。 軍事協定バリエーションとは互換性がない。それぞれの動きはルールにのっとっていなければならない。したがって、その結果、通常のチェスと完全に同じ棋譜が生じることになる。
加速007に関する詳細は ここ。
覚え書き
今までの人は、私も含め、もともとのルールが好きな人はいない。しかし、007
軍事協定バリエーション をプレイする人が増えてきた。また、ルール#7を変えて、ポーンの*所有者*が、昇格する駒を決めることができるようにするべきだという人もいる。私も、このようにルールを変更したほうがいいという意見に傾いている。なだれチェス
(Avalanche Chess) のような、敵の駒を動かす他のゲームでは、昇格する駒はポーンの所有者が決めることができる。また、
敵がポーンを昇格することを助けるという面白い状況を導くことになると思う(訳注:ポーンを動かしたプレイヤーが昇格を決める場合ということだろうか?ちょっと意味不明)。
私があっという間に負けた棋譜を紹介する。
均衡007軍事協定 (Balanced 007 Detente)
Edwardが白で、盤面手前である。
Hunterが黒で、盤面向こう側である。
分かりやすくするために、Edwardの指し手は [括弧] でくくった。
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White |
Black |
1. |
f3 |
[h6] |
2. |
[e4] |
e5 |
3. |
g4 |
Qh4+ |
4. |
[Ke2] |
[Qh3] |
5. |
[Qe1] |
Be7 |
6. |
g5 |
Qe6 |
7. |
[gxh6] |
[g5] |
8. |
[Bh3] |
Qc4+ |
9. |
Ke3 |
Bc5+ |
10. |
[d4(forced)] |
d6] |
11. |
[Bxc8] |
Rxh7 |
12. |
Qe2 |
Qxd4++ |
終局図
白:
キング e3; クイーン e2; ルーク a1, h1; ナイト b1, g1; ビショップ c1,
c8; ポーン a2, b2, c2, e4, f3, h2.
黒:
キング e8; クイーン d4; ルーク a8, h6; ナイト b8, g8; ビショップ c5;
ポーン a7, b7, c7, d6, e5, f7, g5.
原文:
Edward Jackman 訳: 関 勝寿
このページは、Hans BodlaenderさんのThe
Chess Variant Pagesを日本語に訳したものです。
This page is the translation of The
Chess Variant Pages maintained by Hans
Bodlaender.
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