タクシーチェス (Taxi Chess)
目次:
基本的な考え方
地下鉄のストライキのために、チェスの駒はどこへ行くにもタクシーを使わなければならなくなってしまった。タクシー代は高いが、予算は限られている。
公式ルール
純粋主義者のために、タクシーチェスのルールをきちんとした形で示す。
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タクシーチェスのルールはFIDEのチェスのルールと以下の点を除いて同じである。
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対局者は、それぞれはじめに1600円のお金を持ち(訳注:原文では16ギルダーである)、自分の番がまわってくるたびに、指し手を進める前に200円の収入をもらうことができる。
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縦、横、斜め、いずれの方向にもますめを1つ進むごとに100円かかる。つまり、ナイトの動きは200円である。
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キングサイドキャスリングは400円、クイーンサイドキャスリングは500円である。
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駒を取るときは、駒を番外に出すために必要な分だけお金を払わないといけない。たとえば、e4,
e5, d4, d5で駒を取ると、400円かかり、 f3, c3, f6, c6, を結ぶ四角形上の升目で駒を取ると300円かかる。
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ポーンの昇格には200円を追加しなければならない。100円は昇格する駒を持ってくるためであり、100円はポーンを取り去るためである。
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借金は認められていない。もしもお金が足りなければ、より短い動きをするしか方法はない。つまり、破産によりチェックメイトされることもあり得るということである。
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チェックメイトでゲームが終わるが、キングを取るとろまで計算してはじめてチェックメイトが成り立つ。すなわち、一見チェックメイトしたように見えても、キングを取るためのお金がなければキングを取ることができないのであるから、それはチェックメイトではない。特に、キングを番外に出すためのお金を払う必要はない。下のプロブレムの局面では、もしもキングを番外に出すためにお金を払わなければならないとしたならば、白は1.
Kb3-b2でチェックメイトにできる。
戦略
このゲームは、お金が足りなくなってしまうように作られている。お金を貯めるために短い動きをしなければならない時があるが、これは観戦者にとってはたいくつであるが、対局者にとっては非常に緊張感がある。
攻撃にかかるお金をぎりぎりのところまでまで計算して最初に攻撃を仕掛けた方が勝つことになる。
ディスカバード・チェック(空き王手)
Alfred Pfeifferは、持ち金によってはチェックがチェックにならなくなることもあることを指摘した。たとえば、下の
プロブレムを参照のこと。
しかしこのことはつまり、もしも自分がこのような局面に遭遇した場合、短い指し手によってお金が増えれば、それがチェックになるということである!事実上、新しいタイプのディスカバード・チェックである。
バリエーション
はじめの持ち金の1600円は、カンである。最適な金額は、もう少し高いか安いかであろう。
お金は、ドルやリラやポンドにすることもできる。
パズルとプロブレム
Hans Bodlaenderは、破産によりステイルメイトができることを指摘した。私にはどうしてそんなことができるのか分からなかった。私がまんまとやられてしまったことから、これはいいパズルになると思う!
プロブレム
正確にはプロブレムではなくてエンドゲームの研究です。
白: Kb3, Rd3, 持ち金=2 (Min); 黒: Ka1, Ra4, 持ち金=0;
この図はもともとAlfred Pfeifferが持ち金によりチェックとなるかそうでないかを質問するために作った図であり、ポイントは1. Rd3-d1がチェックとならないという点である。
なぜならば、次の手で白は2マスしか進めないため、ルークを3マス動かしてキングを取ることができないからである。
私が整理した結果、上図の局面から以下のように指し手が続くことが分かった。
1. Rd3-d1 Ra4-b4+ 2. Kb3-a3+ (2. Kb3:b4は白のお金が足りないためにルール違反となるが、2. Kb3-a3+はチェックとなる。なぜならば、白が1マスだけしか動かないことにより、白の持ち金が100円増えて、3. Rd1:a1と動かすことができるようになるからである。
これは、上述した新種のディスカバード・チェックである。)
2...Rb4-b1 3. Rd1-e1!!となり、白が勝ちとなる!(かっこいいでしょう :-)
しかし、ちょっと待って下さい!
1. Rd3-d1 Ra4-a3+! 2. Kb3-b4+! (2. Kb3:a3となればステイルメイトであろう)Ka1-b2 3. Rd1-d2+ Kb2-c1
となり、これは引き分けのようである。
原文:
Ralph Betza 1996 Copyright
訳: 関 勝寿
このページは、Hans BodlaenderさんのThe
Chess Variant Pagesを日本語に訳したものです。
This page is the translation of The
Chess Variant Pages maintained by Hans
Bodlaender.
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