将棋の棋譜に著作権はない
将棋の棋譜には著作権があるのか、といったことはいろいろなところで議論されています(「日本語のリンク」参照)。多くの人が混乱している様子が見えます。世界的に多くの人が指しているチェスの世界では、棋譜に著作権がないとされています。そこで、欧米における棋譜と著作権の解釈について知るべく、The Shogi Discussion Listにて棋譜と著作権について議論をしました。その議論は、以下からすべて読むことができます。簡潔にまとめると、このようになります。
- 棋譜は創作物(creation)ではなく事実の記録(facts)であるため、チェスの棋譜は著作物であるとはみなされない。
- 棋譜に対するコメントは著作物であるため、コメントが入った棋譜も著作物となる。したがって、コメントつきの棋譜を再配布するときには、元の棋譜からコメントを取り除かなければ、著作権侵害となる。
- FIDE(世界チェス協会)が、数年前チェスの棋譜を管理下におこうとして、猛反発を受けた。FIDEは、棋譜に著作権を与えることが可能であるかどうかを真剣に検討したが、それは無理であった。
- チェスでは、多くの棋譜がパブリックドメインとして公開されている。
- 欧米諸国の法律では、チェスや将棋の棋譜を、自由に交換できる。
- 単独の棋譜には著作権はなくても、棋譜を集める過程で創作的な活動をしている場合には、複数の棋譜を集めた棋譜集に著作権が発生する可能性がある。
- プロの棋譜とアマの棋譜で著作権の有無を分けるのはおかしい。
この欧米における著作権の解釈をふまえると、欧米から輸入された著作権という概念を元にして作られている日本の著作権法において、棋譜に著作権があると解釈される、と主張するだけの根拠はありません。したがって、私は将棋の棋譜に著作権はないと主張します。
The Shogi Discussion List における議論
2003年7月15日から7月18日の間にされた議論を、発言の時間的順番にまとめました。
- Katsutoshi Seki
- Marc
- Larry Kaufman
- Sam Sloan
- Andrew Okun
- Katsutoshi Seki
- Kazuyuki Iwamoto
- Larry Kaufman
- Katsutoshi Seki
- Daniel M. Toebbens
- Sam Sloan
- Stouten, Pieter
- YAMADA Tsuyoshi
- Kazuyuki Iwamoto
- Sam Sloan
- Katsutoshi Seki
英語リンク
日本語リンク
プロ棋士の棋譜を鑑賞できるサイト
Written by Katsutoshi Seki on July 17, 2003.
Last Up$Date: 2006/04/24 05:21:13 $ (UTC)