何を目的に生きているのですか?

先日電車の中で聴いた職場の同僚らしい男女の会話です。二人とも30才前後でした。
女: ××さん、どうしたの。顔色悪いね。

男: そうだろうね。あまり面白くないからね。

女: 忙しいの?

男: その反対さ。ボスが一人で忙しがっているよ。自分で全部抱え込むタイプだからね。俺は保安要員だから何もないと基本的に暇なんだ。日常業務なんて直ぐ終わっちゃうよ。

女: そうね。あのボスじゃ、「お手伝いしましょうか」なんていえないよね。そんな雰囲気じゃないもん。それじゃ、何かして遊んで気晴らししたら。

男: 何したらいいんだろう。気晴らしするものがないんだ。

女: 何でもいいじゃない。運動は?。ゴルフやテニスはやらないの。ジョギングだって、何だっていいじゃない。

男: 俺運動は駄目なんだ。

女: それなら、楽器演奏とか、絵を描くとかしてみたら。ほかにも読書とか、パチンコ、野球やサッカーを見るとか気晴らしの種ならいくらでもあるでしょう。

男: そうだね。俺今までそういうことに興味なかったんだが、探してみるか。

女: そうしなさいよ。


私見によると、この男は仕事を生きがいにしているようだ。かって私もそうだったからよく分かる。しかし、上司に恵まれていないので不幸になっている。私の場合は良い上司に恵まれたので、30才の頃は忙しくて悩んでいる暇はなかった。

しかし、仕事なんて空しいものである。特に私の場合、計算機のソフトを作る仕事だったので、精根つくして作ったソフトも5年ともたずバージョンアップされてしまう。何度空しい思いをしたことか。


ところで、日本の国は今歴史上かってない繁栄をしている筈なのに、どうしてこんなに不幸な人が多いんだろう。それは日本人のほとんどが人間に生まれたことに感謝していないからだと思う。人に生まれないで、犬だったら、猫だったら、ゴキブリだったら、とどうして考えないんだろうね。そんなことは考えないにしても、どこかよその国、例えば今戦争をしているクロアチア、セルビア、或いは貧窮のどん底にある北朝鮮に生まれていたかもしれないと考えれば、日本に生まれたことに対する感謝の念が、特に両親に対して自然に生じてくる筈なんだがね。

ところが今の子供はほとんど、親に対して感謝をしないね。「僕は生まれたくなんかなっかったのに」といわれると親は返答できない。親も何のために人間は生まれるのか分からないから答えられない。それで子供は学校でチョットいじめられると直ぐ自殺をする。そういう事をマスコミが大々的に、あたかも自殺をした方が正しいかのような報道をする。それを見た別の子供が真似をして自殺する。まあ、マスコミが諸悪の根元であることははっきりしているが、今日はそのことは主題ではない。


親鸞聖人は人生には目的があると教えておられる。それは○○で、これを達成するために我々人間はこの世に生まれるのである。しかも○○は地球上のすべての人に共通で、ただ一つである。生きがいとか趣味とかは人それぞれなので、生きがいとか趣味は○○ではあり得ない。○○即ち人生の目的を達成すると「絶対の幸福」になるそうだ。確かに生きがいとか趣味は目標をいくら達成しても、その次の目標が出来て際限がなく、ある目標を達成しても「相対の幸福」しか得られないから、上の説明には説得力がある。

以上は浄土真宗親鸞会の高森先生に教えていただいた。○○とは何かは分かっているつもりだが、私には説明できない。興味のある方には、高森先生の次回首都圏ご講話の日時をお知らせしますので、ご一報ください。○○とは何か、懇切丁寧に、時間をかけて教えていただけます。 (1998.10.3記)


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