これが戦争だ(「阿片戦争」を読んで)

陳舜臣の「阿片戦争」を読んで、戦争というものの悲惨さを改めて感じた。清末の有名なこの戦争で英国軍は悪逆の限りを尽くした。私の感じでは前(さき)の戦争で日本軍が中国でしたことは、阿片戦争で英国軍が中国でしたことの5分の1、いや10分の1位だと思う。だから日本はいいのだと言うつもりは毛頭ない。しかし阿片戦争で香港を取り最近やっと返したばかりの英国が、よくも第2次世界大戦で日本がしたことを非難できたものだ。大英帝国に「恥を知れ」と言ってやりたい。
阿片戦争当時の19世紀は、ユニオンジャックが世界を支配し好き勝手なことをしていた。占領した土地で民家を略奪、住民は皆殺し、老若の女性を陵辱した。そればかりではなく、その占領のための上陸も現地人を金で雇ってその部隊(漢奸部隊)を先ず上陸させ、現地人同士で戦わせた。英国兵士の戦死を少なくするためである。
従軍慰安婦問題など、日本の戦後処理はこれからも続くと思うが、阿片戦争のイギリス、第2次大戦のドイツに比べれば、日本のしたことははるかに罪が軽いという自覚を持って諸外国と折衝することが肝要であると思う。 (1998.8.28記)