堺屋 太一 経企長官に財政改革の全権を

小渕内閣は前途多難である。馬鹿な国民に迎合して赤字国債を発行すると、それは我が国の将来につけを残すだけだ。数年前、この事に気づき赤字国債は発行しないことにした筈だ。日本人は問題を解決せず先送りばかりしていると世界中から言われているのは、総理、あなたもご存知ですよね。

この際、経済回復の全権を 堺屋 太一 経企長官に与えた方がいい。宮沢蔵相がわりに評判がいいようだが、「彼は基本的に評論家で決断が出来ない。それは前回総理大臣のとき証明されているし、バブルを作りバブルを弾けさせた。」という人もいたね。

堺屋 経企長官にいきなり全権を与えるのは若干無理があるだろうから、まず宮沢蔵相に全権を与え、蔵相がその権限を堺屋に委任すべきであると主張したいな。


三菱総研の佐藤公久氏が、MRIのホームページの MRI Today というコラムに「小渕新内閣の三つの踏み絵」と題して貴重なご意見を発表された。概略次の通りである。
  1. 不良債権処理のスキーム
     すべての銀行を救うのではなく、回復不能の銀行は潰すことである。
  2. 税制改革
     今回の恒久減税は証文の出し遅れである。税収入・支出のフレームを示すことが肝要である。
  3. 行財政改革の展開。これが最も大切である。
     この国の姿・形が明確になっていないと、国民はいくら税金が下がっても金を使わない。
私見だが、橋本内閣の行政改革は要するに省庁の統廃合だから、大臣と政務次官が約20人減る。公務員の削減目標も一応あるようだが、国鉄改革の時のように権限を持った「公務員削減委員会」を作らないと駄目だね。法律案を作るのは公務員だから彼らはそんなものはまず作らない。結局大臣と政務次官が約20人減っただけに終わると思うね。まあ、それでもいくらか経費は削減できるからやらないよりはいいか。勿論公務員給与の20%〜30%削減でもよい。しかし、国民の人気ばかり気にしている小渕総理にはこの決断はできず、第三の踏み絵はクリアできない可能性が高いね。
堺屋経企庁長官の著書に「未来はいま決まる」というものがある。それには将来の日本がたどるであろう三つのシナリオが解説されている。その概略は、
  1. デジタル元禄
     ビッグバンを引き金に、大改革を成功させる。
  2. 最悪のケース
     ビッグバンによるあらゆる変革を恐れ、変革を拒否することである。日本は世界の孤児になる。20年後にはかっての繁栄は何処へやら、治安の悪い貧乏国になってしまう。
  3. 長いサヨナラ
     要するに何もしないで現状を守り続けじりじりと貧しくなっていく。皆が貧乏になる。鎖国ではないので気の利いた人たちはこの国を出て行き、国外に新天地を求める。
この項は尾関雅則氏のホームページから引用した。どうも 3. になる可能性が高いと思う。今から移住先を考えておいた方がいいかな。私はカナダがいいと思うのだが、家内はオーストラリアだという。コアラをだっこしたのがよほど気に入ったみたいだ。
堺屋さん。がんばって シナリオ1 にして下さいね。馬鹿な世論なんて気にする必要は全くありません。最近の政府は人気ばかり気にしているから、こんなに悪くなったのだと思いますよ。大久保利通、吉田茂の在職中はあんなに評判が悪かったじゃないですか。昔からお国のためになる仕事をする総理大臣は、在職中は評判が悪いものなのです。何もしないが故に評判が悪い総理大臣は困りますがね。(1998.8.3記)