占領政策による戦後教育のスタート(愛国論その10)

私は最近、「新しい歴史教科書をつくる会」の主張に賛同し、その本を買ったり、「つくる会」のホームページを見たりしている。私は20年ほど前から、安岡正篤先生その他「つくる会」と同趣旨の考えの人の著書を読んでいたので、「つくる会」の人達の主張を素直に受け入れることが出来た。それが当然だと思った。ところが最近「つくる会山形支部」のホームページにある、「正気煥発掲示板」への書込みを見たところ、「つくる会」の人達の主張を素直に受け入れることが出来ない人が大勢いる事が分かった。おかしいなと思ったが良く考えてみると、20年も前から「つくる会」の人達と同じ主張の本を読んでいた私がそれを素直に受け入れるのは当然だが、今まで自虐史観に何の疑いも持っていなかった人がいきなり「つくる会」の人達の主張を聞いても直ぐには納得できないのも又当然だと思うようになった。

「正気煥発掲示板」を見ていると面白い(面白がっててはいけないのかもしれないが)。両派の人達が自分の主張を長々とやっていて、相手の主張を素直に聞く人は極めて希なのである。民主主義というのは自分も堂々と主張するが相手の主張も謙虚に聞くものである、と教わったのであるが、そういう態度を採る人はあまりいない。相手の言葉尻を捉えて議論のための議論を長々とやっている。掲示板というのをそういうことをやる場であると考えている人が大部分である。もっとも、国会の議論も同じようなものだから仕方がない。こういうことになったのは、戦後の民主主義教育はあまり効果がなかったためか、と思わざるを得ない。それも、自虐史観でずっと教育されて来たからだ、と思うようになった。

なぜそんなことになったのかと考えてみた。一つの可能性として、戦後GHQが戦時中よりも厳しい徹底した言論の検閲をして教科書を書かせたが、独立後教科書を書くのに、GHQの禁止項目をそのまま守ったことであると気がついた。この想定は多分当たっているだろう。つまり、GHQの検閲基準を守る必要がなくなった独立後もばか正直に守って来た、からである。以下「つくる会のホームページ」に掲載された、GHQの検閲基準の解説記事を抜粋・添付する。(2001.6.13記)


占領政策による戦後教育のスタート

 ちょっと歴史を振り返ってみましょう。

 昭和20年8月の敗戦の結果、わが国は有史以来はじめて外国の占領下に置かれることになり、日本人は不安と緊張のうちに占領軍を迎え入れました。ところがその主体である米兵たちは思ったほど抑圧的ではなく、日本人は安心して警戒心を解いたのです。しかし、マッカーサーが率いるGHQ(連合国軍総司令部)が目指したのは、「民主化」を名目に日本を再び世界の中で強力な国にしないこと、つまり「民主化」に名を借りた日本弱体化政策でした。

 GHQは、戦時中よりも厳しい徹底した言論の検閲(【資料B】)を行い、戦争に至る日本の立場の正当性を主張することも、広島、長崎の原爆の悲惨さを公表することも禁じました。その一方で、日本国民を一般国民と支配階級に分け、「国民は支配層にだまされていた」という宣伝によって、国内対立があおられました。

GHQが戦争に関する罪悪感を徹底して日本人の心に植え付けるために行った宣伝計画をWar Guilt Information Program(戦争犯罪宣伝計画)といいます。占領軍は周到な計画の下に、新聞、雑誌、ラジオ、映画とあらゆるメディアを使い、日本の戦争が不当なもので日本人は残虐なことをした、と強調しました。

戦後日本の教育は、このような占領下でスタートしたのです。占領政策の柱をなしたのは徹底した検閲でした。占領軍の検閲基準として、「禁止30項目」というのがありましたが、それを列記しますと、

  1. 占領軍総司令部批判
  2. 東京裁判批判
  3. 占領軍総司令部が日本国憲法を起草した事実への批判
  4. 検問への言及
  5. 米国の批判
  6. ソ連の批判
  7. 英国の批判
  8. 朝鮮人への批判
  9. 支那の批判
  10. その他連合国の批判
  11. 連合国の全般的批判
  12. 満州での日本人処遇への批判
  13. 連合国の戦前の政策への批判
  14. 第3次世界大戦への論評
  15. ソ連と西側諸国との対立への論評
  16. 戦争弁護の宣伝
  17. 神国日本の宣伝
  18. 軍国主義の宣伝
  19. 民族主義(国家主義)の宣伝
  20. 大東亜に関する宣伝
  21. その他の宣伝
  22. 戦争犯罪人の正当化または弁護
  23. 占領軍将兵の占領地女性との懇交
  24. 闇市場の取引
  25. 占領軍の批判
  26. 飢餓状態の誇張
  27. 暴力行為と不穏状態の誘導
  28. 嘘偽の陳述
  29. 占領軍総司令部への不適当な言及
  30. 時期尚早の発表
(Press Pictorial Broadcast Division / Monthly Operation Report 1946.11.25 )
とりわけ赤字に注目していただくと、今もってこの検閲基準に忠実である方ほど、教科書改善に反対している方であることがおわかりいただけると思います。こうした占領軍によるマインドコントロール状態を是とするか、あるいはそこから脱け出て、日本人としてのアイデンティティ(誇りある自覚)の確立を目指すのか、教科書改善運動とは、こうした占領以来の洗脳状態から日本を解放するための運動であると言ってもよいかと思います。したがって、こちらが勝てばあちらが負けるという問題ではなくて、じっくり議論すれば必ずわかってもらえるとの認識をもって運動をすすめております。