アメリカの占領政策

久しぶりの繰り言です。
3月下旬、休暇が取れたので3泊4日でグアム島を訪れた。グアム島は米国の領土であり、そこの原住民チャモロ族(住民の約半数?)は米国の市民権を持つが、グアムがどこの州にも属さないという理由で大統領選の選挙権はないそうである。しかしその件には不満を持っている様子はなく、よく治まっているという感じがした。チャモロ族の政治意識欠如というよりは米国の政策が良いためであろう。

19世紀の末、ヨーロッパ人による500年に亙る世界分捕り合戦はほぼ終わり、後進の米国、ロシアが頑張って多くの土地を占領し第二次大戦後の二大国対立の基礎を作ったのであるが、米ロの占領政策を比較すると軍配は米国に上がるようだ。帝政ロシア占領下では、ソ連崩壊後チェチェンの例を引くまでもなく殆どの民族がロシア人に反旗を翻しているが、米国の占領下で米国に盾突いている国はほとんど無い。やはり米国の占領政策がより優れているというしかないのであろう。


米国が立派なのは、第二次大戦中グアムへ米海軍が上陸した地点を日本軍が死守した跡をちゃんと史跡として保存していることである。大砲と高射砲の残骸、及び塹壕の跡(くずれそうなので補強工事がしてある)が残っていた。

その地点の後方は山になっており、その山の後ろの谷川沿いに横井さんが27年間隠れていたとのことである。その一帯は山を含め現在米海軍の管理下におかれており、その中には島の水源ダムもある。米海軍はダムも管理しており、住民に水を売っている。

横井さんが隠れていたところも米軍管理地域なので、観光客はそこへ入ることができない。しかし、その東南の似たような地形のところに「英雄横井ケーブ」が実物に似せて作られていて、観光コースの一つになっている。横井さんの遺族は観光料金の一部をもらっているのだろうか。もし未だだったらこれから請求した方が良い。


グアム島は米海軍の管理下(全島の2割を米海軍所有)すっかり観光地化されている。泊まったホテルが海岸にあり、珊瑚礁や椰子並木がある海岸の眺望はすばらしかった。ここで横井さん達の日本軍は、友軍の軍艦(補給艦)がくるのをどんなにか待ち望んだことだろう。それなのに日本ではなく米国の軍艦が来た時の驚きと落胆はいかばかりか、などとホテルのベランダから珊瑚礁の海を眺めながら考えた。 (2000.3.25記)