次: 物が順に出てくれば「うん」と言うが、逆に出てくれば「いや」と言うのが俺の性分だ。なんだかしらねえが言ってみろ。
鎌: えらい。つくずくえれえな。何だい、世間の人は森の石松は馬鹿だ馬鹿だと言っているが、馬鹿じゃねえや。
石: なんでえ、有り難いような有り難くねえようなお言葉ですね。そうすると何ですか、世間の人はあっしのことを馬鹿だ馬鹿だと言ってますか。ひでえなそれは。馬鹿じゃねえでしょう。
鎌: うん、馬鹿じゃねえ。利口すぎる。
石: いや、そんなに利口じゃねえ。