啾々吟(王陽明)   

知者は惑はず 仁は憂へず
君何ぞ戚々として雙眉愁ふる
歩にまかせて行し来れば皆坦道
天に憑りて判下る 人謀に非ず
之を用ふれば則ち行き 舎つれば則ち休む
此の身浩蕩 虚舟浮ぶ
丈夫落々 天地を掀ぐ
豈に顧みて束縛 窮囚の如くならんや
千金の珠 鳥雀を弾じ
土を掘るに何ぞ蜀鏤を用ふるを煩はさん
君見ずや東家の老翁 虎患を防ぐを
虎 夜・室に入って其の頭を啣む
西家の児童 虎を知らず
竿を執って虎を駆ること牛を駆る如し
痴人噎に懲りて遂に食を廃し
愚者溺を畏れて先づ自ら投ず
人生命に達すれば自ら灑落
憂讒 避毀 徒に啾々たらんや

(実にいい詩です。特に落ち込んでいる時など、この詩を音読すると気が晴れます。)