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均衡破りチェス (Tilting the Balance Chess)

私はちょうどHarry Turtledove'sの、「Tilting the Balance」という素晴らしい小説を読み終わったところですが、この小説を読んで、変則チェスを考えました。

何種類かの爆発チェス(atomic bomb chess)があることは知っていますが、この均衡破りチェスに似ている物はないと思います。

ルール

0. ルールはFIDEのチェスのルールと、1を除いて同じである。 

1. ゲーム中に、各プレイヤーが1度ずつ、盤上に16個以上の駒がある場合に限り、自陣の3段目までの位置に爆弾を仕掛けることができる(爆弾を仕掛けることが、1回の指し手になる)。爆弾がしかけられた桝目と、そこに隣接した桝目(斜めに隣り合う桝目も含む)と、その桝目にある駒は破壊される。破壊された桝目はクレーターになり、以後その桝目に駒は入れない。

補足説明

両方のキングが同時に爆破されると、ゲームは引き分けになる。

ナイトはクレーターの角を飛び越すことはできるが、クレーターの中に着地することはできない。

ポーン、ルーク、ビショップ、クイーンはクレーターを飛び越すことはできない。

考察

このルールこそが、爆弾チェスのプレイ可能な形態である。その主な理由は2点である。1つめに、爆弾は自陣になければならない。2つめに、盤面にたくさんの駒がなければならない。1つめの理由により爆弾による利益を得ることが容易ではなくなる。2つめの理由により、駒の数が16に近づくと、爆弾を仕掛けるタイミングを急がなければならない。

クレーターの陰に隠れるように爆弾を仕掛けることも可能である。

対局例

ここで、私が作成した対局例を紹介する。

1. e4 g5?! 2. d4 f6

次の手で白のクイーンを誘って、そのクイーンを爆発させる。3. Qh5+ (****)g6:h5h7g5f6!

とまあ、このようなわけである。なんて短い棋譜でしょう。ここで、爆発の表記法に注意してほしい。"(****)g6:h5h7g5f6"というのは、"g6で爆弾を爆発させて、h5, h7, g5, そしてf6の駒を取った"ことを意味する。   


もう一つの対局例を示す。

1. e4 e5 2. Nf3 d5?! 3. ed5 e4 4. Ne5 (****)d6:e5c7d5

さて、この局面はどうであろうか?黒はナイトをポーン2枚と引き換えに得ることができた(e4のポーンは失ったも同然なので失ったと数える)。しかし、黒の中央にある爆弾によるクレーターは黒の駒の働きを悪くしている。たとえば、黒のクイーンははじめに横に動かなければ展開することができ無い。もちろん、白のdファイルのポーンも、クレーターが邪魔をしているためにかなり役に立たないように見えるが、白はまだ自分の爆弾を持っているために、白は十分にその代償を得ていると考えられる。


原文: Ralph Betza 1996 (Copyright)  訳: 関 勝寿           
このページは、Hans BodlaenderさんのThe Chess Variant Pagesを日本語に訳したものです。
This page is the translation of The Chess Variant Pages maintained by Hans Bodlaender.

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